top of page


vol.7 返信のない日は、距離じゃなくて生活だった。(えりかさん/看護師)
朝起きて、スマホを見ない時間が少し増えた。 前までは、起きた瞬間にLINEを開いて、 通知がないと勝手に落ち込んでたのに。 慣れってすごい。 いや、慣れというか、諦めに近いかもしれない。 えりかさんからの返信がない日は、 もう「嫌われたかも」とは思わなくなった。 思わなくなったけど、 代わりに「いま何してるんだろ」は、ずっと残る。 夜勤明けかもしれないし、 単純に寝落ちしてるだけかもしれない。 その“かもしれない”が増えるほど、 僕は勝手に想像して、勝手に疲れてた。 昼休みに真柴と飯を食いながら、 「返信こないんすよね〜」って軽く言ったら、 「それ、普通じゃないですか?」って即答された。 普通。 その言葉が、ちょっと刺さった。 僕は“特別なテンポ”を期待してたんだと思う。 相手の生活より、自分の不安を優先して。 美咲にも同じ話をしたら、 「沈黙が怖いってことは、期待してるってことじゃない?」 と言われた。 図星すぎて、何も言えなかった。 期待してる。 そう言われると、急に重たく感じる。 別に付き合ってるわけでもないのに。 数日後、えりかさんから.
info123751
1 日前読了時間: 2分


vol.6 沈黙を“悪いこと”と決めつけすぎた。(えりかさん/看護師)
朝、カーテン開けた瞬間、スマホ見た。 未読は…ついてない。 既読も…ついてない。 つまり、なにも動いてない。 前だったら、ここで「終わった」と判断してた。 31歳、小村透。 なんというか、若い頃より“即時性”の魔力に毒されてる。 通知が来た/来ない、だけで0か1かにしすぎる。 でも今日の僕は、ちょっとちがう。 午前中、オフィスで真柴が“いつも通りの声量”で言った。 「小村さん、沈黙は“考えてる”の可能性ありますよ。 僕たち、プロダクトで“ユーザの沈黙”の意味を勝手に塗らないじゃないすか」 あ。 この一言で、僕は一瞬で現在地に戻った。 僕、DeepMatchingで、ユーザの“無言”を、勝手に「離脱」にしてはいけないと、何回も言ってきたじゃん。 “行動ログは、理由の一部”でしかない。 その裏で、生活があり、仕事の負荷があり、人間の事情がある。 えりかさんが、今日いまこの瞬間、僕のLINEに返信するより、優先するべき事象があるのは普通の話だ。 昼、美咲からまたDM。 「透、昔より“ちゃんと待てる人”になってて、いいと思うよ」 こういう一行で、人はまた
info123751
2025年12月13日読了時間: 2分


vol.5 通知のない夜に考える。(えりかさん/看護師)
えりかさんとのLINEが止まってから、一週間。 スマホの通知欄がこんなに静かなの、久しぶりだった。 別に恋愛してたわけでもないのに、空白の時間がやけに長く感じる。 「恋っていうより、習慣がなくなっただけっすね」って真柴が言った。 うるさい、と思いつつ否定できない自分がいた。 夜、コンビニの帰り道で、ふとガラスに映った自分を見た。 31歳、婚活中。髪も寝ぐせのまま、目の下にクマ。 これ、アプリのプロフィール写真と同じ人間だとバレたら即スルーだな、って苦笑した。 それでも帰って、アプリを開いて、 新しい“いいね”が来てないかを確認してしまう。 人間ってほんと、希望中毒だ。 「この前のイベント、女性の参加率6割でしたよ」 共同運営の田嶋さんが言った。 “イベント”ってのは、僕らが運営してる DeepMatching のリアルイベント。 本来、僕はスタッフ側なんだけど、 最近は半分、参加者みたいな気分で出ている。 真柴には「小村さん、それ婚活じゃなくて職権乱用です」とか言われるけど。 うるさい。 美咲からも久しぶりにLINEが来た。 「透、最近どう?ちゃ
info123751
2025年12月12日読了時間: 2分


vol.4 スタンプの海に沈む日。(えりかさん/看護師)
えりかさんとのLINEは、ある日を境にスタンプ中心になった。 「おつかれ〜🌙」に対して「🐰✨」、 「寒いね」に「☕️💕」。 会話というより、もはや絵文字の交換会。 でも、既読がつくだけでうれしかった自分がいた。 夜、真柴(同僚)にその話をしたら、 「小村さん、それ“継続”じゃなくて“延命”ですよ」って言われた。 後輩のくせに妙に刺すこと言う。 僕は「うるさいな」って笑って返したけど、 その夜はやたらとスマホの光が冷たく見えた。 そういえば、美咲(同僚)にも似たようなこと言われたっけ。 「透ってさ、“繋がってる感”が好きなだけじゃない?」って。 そのときはムカついたけど、今思えば正解かもしれない。 だって僕は、彼女と話したいというより、 “えりかさんと繋がってる自分”を守りたかったんだと思う。 三日後、ついにえりかさんからのメッセージが止まった。 「ごめんね、ちょっと忙しくて」が最後。 僕は「がんばってね!」って返したけど、 その後の既読はつかないままだ。 タイムラインには、誰かが撮った夜景と彼女の笑顔。 そこに僕の居場所は、もうない。 田嶋
info123751
2025年12月8日読了時間: 2分


vol.3 夜勤明けのコーヒーと既読の朝。(えりかさん/看護師)
夜勤明けのえりかさんは、たまに意味のわからないテンションでLINEを送ってくる。 「いま心臓止まりそうになった〜笑」とか、「患者さんが僕に似てた!」とか。 朝の7時台にそんなメッセージが来ると、僕はコーヒー片手にスマホを見ながら、 “あぁ、今日もちゃんと生きてるな”って、よくわからない安心をする。 アプリで出会って二週間。 まだ会ってもないのに、毎日LINEしてる。 でも話題は、ほとんどが天気と仕事とスタバ。 深い話になりそうになると、えりかさんは 「えー、真面目〜笑」で終わらせる。 そこが彼女らしいし、そこに僕は少し安心していた。 ほんとは、重い話なんて聞かれたくなかったのかもしれない。 「今度、夜勤明けにごはん行こうよ」って言われた日の朝、 僕は久しぶりに“デート”という言葉を頭の中で発音した。 でも、仕事の調整に手間取って、結局「その日はちょっと…」と返したら、 既読のまま、返信はなかった。 一日、二日、三日。 スマホの通知欄を何度も見ても、あのピンクの吹き出しは増えなかった。 夜勤明けのコーヒー。 あのときの彼女は、眠い目でカフェラテを飲
info123751
2025年12月2日読了時間: 2分


vol.2 自己紹介って、ちょっと恥ずかしい。
どうも、DeepMatchingスタッフの小村です。 一応このエッセイの語り手です。 いや、1話でいきなり38人とか言っちゃったんで、 「コイツ何者だよ」って思われたかもしれませんが、 普通の人です。ほんとに。 年齢は31。大阪生まれの大阪育ち。 いまはなんやかんやで恋愛イベントの運営とかしてます。 もともとは広告の仕事してました。 “どうしたらモノが売れるか”ばっか考えてたら、 “どうしたら恋が続くか”を考える側に回ってました。謎の転職です。 性格は…まじめ寄り。 でもちょっと理屈っぽい。 いわゆる「いい人」止まりってやつ。 昔から「優しい」って褒められるたびに、 なぜかちょっと傷つくタイプです。 趣味はサウナとカフェ。 好きな食べ物は、ネギトロ。 どうでもいいけど、これ書いてる時点で すでに自分でも「この自己紹介いる?」って思ってます。 でもまあ、書いておきます。 だって、このエッセイは僕の“恋の黒歴史”みたいなもんなんで。 どんな人間がやらかしてるのかぐらいは、 知ってもらってた方がいいでしょ?笑 ちなみに、いまは婚活アプリを卒業して、..
info123751
2025年11月20日読了時間: 2分
bottom of page